シエスタ2025年2月号

シエスタ2025年

なぜ悪人が上に立つのか（ブライアン・クラース著柴田裕之訳東洋経済新聞社）

今回は久しぶりに書籍のご紹介です。

本書は、人間社会の権力構造に潜む問題を掘り下げ、特に「なぜ悪人が頻繁にリーダーや権力者の地位に上り詰めるのか」という疑問に対して心理学、社会学、政治学などの学術的見解を取り入れ、歴史的事例や現代の知識を踏まえて、このテーマに迫っています。

正義的な人々がリーダーシップの立場に就くことが少なく、逆に、他者を利用し、自己利益を追求する「ダークトライアド」を持つ人材が勝ちやすい理由を明確に解説しています。

「ダークトライアド」の3つの要素とは、①マキャベリズム（欺瞞性）②ナルシシズム（自己中心性）③サイコパシー（反社会的傾向）です。

具体的には①自信過剰で自己宣伝が得意な人物が、人々に「強いリーダー」という印象を与えやすい②他者を操る能力に優れた人々が、組織内で競争を勝ち抜く戦略を持つ③感情に左右されない冷酷さが難しい決断を必要とする場面で有利に働くことがある。

ちょっと小難しいかもしれませんが、要は常識的ないい人ほどリーダーには向いていない、ということでしょうか笑。また「権力を得る上で童顔は有利」「人事異動をして権力の濫用を減らす」などが興味深かった箇所です。

ご興味あればご一読ください。

弊社も企業の様々な職位の方と接点はありますが、経営者の方々に良くも悪くも上記の要素を感じることは多々あります。

同時に、部下である人事担当者の方がその経営者の元でご苦労をされている場面もよくお見受けします。愚痴もよくお聞きします笑。

職場環境の充実を標榜しながら、実態が伴わず、離職者が頻発する。

社員が辞める理由は悲しいかな、職場の人間関係によるものがほとんどではないでしょうか？

退職者は本当の退職理由を言わずに去っていきますから、経営層は自社の組織の澱みに気づきません。

採用面接の際、多くの場合、面接官との心理的距離が近い方が採用となり、いざ職場に入って人間関係になじめず、精神的に疲れ、また辞めていきます。

労使双方にとって喜ばしいことではありません。

これからもっと厳しくなる人手不足に対して「定着」にもっと目を向けませんか？